国債の発行日前取引に関するQ&A
平 成 1 9 年 9 月
1.国債の発行日前取引関係(総論)
Q1:国債の発行日前取引とは、どのような取引をいうのでしょうか。
A:国債の発行日前取引とは、国債が当初予定された発行日に発行されることを停止条件と
して、発行日より前に約定を行い、国債の発行日以降に受渡し決済を行う売買取引をいい
ます。
(注)停止条件付法律行為とは、民法上、ある条件が成就したときに契約の効力が発生するこ
とをいいます(民法第 127 条第1項)。国債の発行日前取引では、売買契約は約定時から有
効であり、当初予定された発行日における当該国債の発行成立(停止条件の成就)をもって
売買契約に基づく権利義務関係が確定し、当該国債の受渡しの履行(売買契約の履行)が可
能となります。よって、仮に当該国債の発行が中止又は延期となった場合は、約定を取り消
すこととなります。(「国債の発行日前取引に関するガイドライン」Ⅱ.1.(1)①参照)
《イメージ図》
入札アナウンスメント 入札 発行日
入札前取引
発行日前取引
Q2:新発国債の販売は発行日前取引に該当しますか。
A:国債の入札での落札玉又は市場からの買入れ玉等を新発国債として顧客に販売する場合
は、売買取引となるため発行日前取引に該当します。
Q3:金融機関による2年利付国債や5年利付国債等の新発債の窓口販売は発行日前取引に
該当しますか。
A:入札で落札した玉を顧客に販売するため、発行日前取引に該当します。
なお、平成 18 年 3 月 31 日までに発行された 10 年利付国債については、募集期間中にシ
団引受玉を販売するものは募集の取扱いに該当するため、これまで発行日前取引には該当
しませんでしたが、シ団が廃止された平成 18 年4月1日以後に行われる10 年利付国債の
窓口販売については、発行日前取引に該当することになります。
Q4:いわゆる個人向け国債の販売は発行日前取引に該当しますか。
2.発行日前取引と「金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に
関する内閣府令」関係
Q5:国債の発行日前取引は「金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保
証金に関する内閣府令」(保証金内閣府令)で定義する発行日取引に該当しますか。また、
該当する場合、保証金の預託を顧客に求める必要がありますか。
A:国債の発行日前取引については、金融庁より、同内閣府令で定義する発行日取引に該当
する旨を確認しております。また、本協会の営業ルール照会制度を通じて、同取引は保証
金の預託を要しない旨を確認しております。
(注)平成 15 年8月4日付け会員通知「国債の発行日前取引に係る保証金の預託義務につい
て(営業ルール照会制度に基づく照会及び回答)」(日証協(市債)15 第 23 号)参照
Q6:協会員は、顧客と国債の発行日前取引を行う際に、顧客から発行日取引の委託につい
ての約諾書の差し入れを受ける必要はありますか。
A:国債の発行日前取引は、現金・現物売買取引に相当するものとして整理されております
ので、発行日取引の委託についての約諾書の差し入れを受ける必要はありません。
3.協会諸規則関係
Q7:「公社債の店頭売買の参考値等の発表及び売買値段に関する規則」第 13 条に規定する
国債の発行日前取引に関する説明においては、どのような説明を行えばよいのでしょうか。
A:本協会では、国債の発行日前取引の円滑な導入等を目的に、顧客に同取引の内容を理解
してもらうため、「公社債の店頭売買の参考値等の発表及び売買値段に関する規則」第 13
条を新設し、国債の発行日前取引の内容等に関する説明義務を設けております。
これにより、協会員は初めて国債の発行日前取引を行う顧客に対して、あらかじめ当該
取引が停止条件付売買であることや、停止条件不成就(国債の発行が中止になった場合等)
の際の取扱い等について説明を行う必要があります。
なお、今回の規則改正に伴い、平成 16 年2月 23 日以降に初めて国債の発行日前取引を
行う場合は、従前より国債の発行日前取引を行っていた顧客(他の協会員も含まれます。)
に対しても、説明を行う必要があることに御留意ください。
説明を行うに当たっては、口頭による説明の他、「国債の発行日前取引に関するガイドラ
イン」(平成 15 年8月4日付け会員通知(日証協(市債)15 第 21 号)又は本協会ホームペ
ージ(http://market.jsda.or.jp/html/saiken/index12.html)を御参照ください。)や各社で 作成したリーフレットを用いて説明を行う方法等が考えられます(ガイドラインやリーフ
が何らかの方法により顧客が当該リーフレット等を読んだ旨確認した場合は、説明を行っ
たものとみなします。)。
なお、個人顧客等に対して、国債の発行日前取引に係る説明を行う際は、別紙の事項を
参考にしてください。
Q8:国債の発行日前取引に関する説明は、取引の都度行う必要がありますか。
A:発行日前取引を行う都度、説明を行う必要はありません。国債の発行日前取引を初めて
行う顧客に対し、約定以前に少なくとも1回は説明を行う必要があります。また、本規則
施行日前に同説明を行うことも認められます。
Q9:顧客への説明状況について記録を残す必要がありますか。
A:顧客への説明状況に係る記録は、規則上は求められておりません。
Q10:国債の発行日前取引に関する説明は、機関投資家や他の協会員と取引を行う場合にも
行う必要がありますか。
A: 顧客の属性にかかわらず、説明を行う必要があります。
Q11:国債の発行日前取引は、協会の「公社債の店頭売買の参考値等の発表及び売買値段に
関する規則」その他関係諸規則の適用を受けるのでしょうか。
A:当局への照会により、国債の発行日前取引は「有価証券の売買」である旨が確認された
ことから、本協会諸規則の適用を受けることとなります(平成 15 年8月4日付け会員通知
「国債の発行日前取引に係る保証金の預託義務について(営業ルール照会制度に基づく照
会及び回答)」(日証協(市債)15 第 23 号)参照)。
ただし、「債券等の着地取引の取扱いに関する規則」においては、発行日以後の日に約定
が行われる取引を対象としているため、発行日前取引は同規則の適用を受けません。
Q12:入札前の国債を対象として選択権付債券売買取引、債券等の条件付売買取引及び債券
貸借取引を行う場合、約定時における個別取引明細書等の記載事項として、当該取引対象
国債の単価等に代わって利回り等を記載する必要はありますか。
A: 本協会の選択権付債券売買取引、債券等の条件付売買取引並びに債券の空売り及び貸
借取引に関する各規則においては、上記のような契約書に基づく取引について、最終的に
全ての記載事項を明記していただくことが必要であることから、約定時点で個別取引明細
書等に記載できない事項については入札日以後遅滞なく明記し交付していただくこととし
ております。したがって、規則上は約定時に利回り等の記載は必要ありません。もっとも、
規則上の個別取引明細書等の記載事項は最低限盛り込む必要のある事項を一律に定めてい
えていただくことは妨げておりません。
Q13:国債の発行日前取引において売付ける行為すべてが空売りに該当しますか。
A:本協会の「債券の空売り及び貸借取引の取扱いに関する規則」において、債券の空売り
の定義と受渡し方法を規定しているのは、受渡し債券の確保、すなわち混乱なく受渡日に
取引を完了させることを意図したものであり、その趣旨は国債の発行日前取引においても
同様であります。
国債の発行日前取引において、売付け約定日に受け渡す債券の残高等が確保されており、
当該債券をもって受渡しを行う取引は「有する」に含まれ、空売りに該当するわけではあ
りません。
Q14:入札前の国債の空売りにおいて、入札により取得した国債を受渡しに用いる方法は認
められますか。
A:「債券の空売り及び貸借取引の取扱いに関する規則」第4条第1項第1号「受渡日以前
に買戻しを行う方法」に含まれます。
Q15:二種外務員は顧客と国債の発行日前取引を行うことができますか。
A:国債の発行日前取引は、現金・現物売買取引に相当するものとして整理されております
ので、二種外務員(及び特別会員二種外務員)は取り扱うことができます。また、一種外
務員等の同行も不要です。
(注)「協会員の外務員の資格、登録等に関する規則」第2条第4号及び「『協会員の外務員の
資格、登録等に関する規則』に関する細則」第2条参照
4.その他
Q16:法定帳簿上の取扱いはどのようになりますか。
A:国債の発行日前取引のうち入札前取引については、当該取引に係る顧客交付帳票及び法
定帳簿の取扱いに関する規定の整備を図るため、「金融商品取引業等に関する内閣府令」(以
下、「金商業等府令」という。)により、概要次のとおり取り扱うことが求められておりま
す。
1.顧客交付帳票関係
( 1) 契約締結時交付書面
国債の入札前取引の契約締結時交付書面については、銘柄、単価、対価の額、約定数
び計算方法に代えて、国債の入札前取引である旨、償還予定日及び約定利回り(変動利
付国債の場合は基準金利に対するスプレッド。以下同じ。)を記載することができる。
( 2) 入札報告
国債の入札前取引を約定し、当該入札が成立した後には、当該取引に係る銘柄、単価
及び金額並びに当該取引の契約の際に取引報告書で通知した事項(償還予定日及び約定
利回りを除く。)を通知する。
( 3) 停止条件の不成就に係る通知
国債の入札前取引を約定し停止条件が不成就となった後には、当該事実及び当該取
引の成否に係る事項を通知する(通知しないことについて顧客から同意を得た場合を
除く。)。
2.法定帳簿
( 1) 注文伝票
国債の入札前取引については、銘柄及び約定価格の記載に代えて国債の入札前取引で
ある旨、償還予定日及び約定利回りを記載することができる。
( 2) 取引日記帳
① 国債の入札前取引については、銘柄、単価、金額及び受渡月日を入札後に記載
することができる。
② 取引の成立後に、国債の入札前取引である旨、償還予定日及び約定利回りを記
載しなければならない。
③ それぞれの事項を記載した期日及びそれらの記載の経緯が判別できること。
( 3) トレーディング商品勘定元帳
国債の入札前取引については、銘柄の記載に代えて国債の入札前取引である旨及び償
還予定日を記載することができる。
なお、金商業等府令では、国債の発行日前取引を有価証券の現金・現物売買取引とする
前提で整理されております。したがって、顧客勘定元帳を作成する際に信用取引、発行日
取引及び先物・オプション取引等について求められている分冊作帳、取引残高報告書にお
ける信用取引等の未決済勘定明細及び評価損益等の記載に係る要件は適用されないものと
して整理されておりますのでお含み置きください。
(注)国債の入札日以降に行われる発行日前取引に係る法定帳簿上の取扱いは現行どおりとな
りますので御留意ください。
Q17: 自己資本規制の取扱いはどのようになりますか。
A: 国債の発行日前取引に係る自己資本規制の取扱いについては、「証券会社向けの総合
札前取引を行う場合の表面利率等発表前における自己資本規制比率の算出について、概要
次のとおり取り扱うことが求められております。
1.リスク相当額の算出に当たっては、算出時点の流通市場における実勢価格を考慮して
合理的に算定された利率、又は当該取引の対象となる国債と償還年限及び発行形式が
同一の国債の直近発行銘柄における表面利率を、仮の表面利率として利用する。その
際、当該計算方法については継続して使用すること。
2.当該国債の表面利率等が発表されたときは、遅滞なく当該表面利率等に基づき再計算
を実施し、当該表面利率等発表日以降の自己資本規制比率の計算に適用する。
Q18: 経理処理の取扱いはどのようになりますか。
A: 本協会では、国債の発行日前取引のうち、会員の国債の入札前取引の経理処理事例及
び税務上の取扱いについて、関係各方面との調整を経て、「国債の入札前取引に係る経理処
理事例等について」(日証協( 会−経) 15 第3号)として取りまとめておりますので、本会員
通知を御参照ください。
なお、本通知における経理処理事例では、国債の入札前取引を会計上「有価証券の売買
取引」として整理するにあたり、次の3条件を満たすことを前提としていることに御留意
ください。
1.入札前取引が当該国債証券を売買する唯一の方法であること。
2.当該国債証券の受渡決済が可能な限り最短期間で行われること。
3.入札前取引の売買契約約定時及び約定日から受渡日までの間に差金決済される可能性
が低く、当該国債証券現物での受渡しが行われる可能性が高いこと。
別 紙
お客様が、新規に発行される国債をその発行日前に売買取引される場合には、以下の点
について十分ご理解のうえお取引されるようご説明願います。
1.国債の発行日前取引の内容とその条件について
国債の発行日前取引は、当該国債が当初予定された発行日に発行されることを条件と
して発行日前に約定を行い、当該国債の発行日以後に、約定内容に基づき国債の受渡し
を行う売買取引です
(注1)
。
2.国債の発行が中止又は延期された場合の約定の取扱いについて
(1) 国債の発行が中止された場合は、当該国債が存在せず受渡しを行うことができ
ないため、発行日前取引の約定は取消しとなります。
(2) 国債の発行が延期された場合は、金利商品である国債の運用期間が変化すると
いう重要な契約内容の変更に該当するため、発行日前取引の約定は取消しとなりま
す。
3.国債の入札
(注2)
が中止又は延期された場合の約定の取扱いについて(入札前に売買
する場合)
(1) 国債の入札の中止が発表され、かつ、当初発行予定日に発行が行われない旨
の発表が行われた場合は、発行日前取引の約定は取消しとなります。
(2) 国債の入札の延期が発表され、かつ、当初発行予定日の1営業日前までに入
札が実施されなかった場合は、当初発行予定日の確実な発行払込みが困難とな
るため、発行日前取引の約定は取消しとなります。
以 上
(注1)
国債の発行日前取引の詳細な市場慣行は、日本証券業協会が公表している「国債の発行日前取引 に関するガイドライン」をご参照下さい。(http://market.jsda.or.jp/html/saiken/index12.html)
(注2)